2026 年 62 巻 5 号 p. 970-974
症例は21歳男性.特異顔貌,胸椎後弯,精神発達遅滞などから先天性奇形症候群と診断された.胸椎後弯矯正手術時の安定した気道確保のため,13歳時に輪状軟骨前方鉗除による気管切開術が施行された.その後,20歳時に胸椎矯正術が完了し,気切孔閉鎖術のため当科を紹介受診.気切孔は14×16 mmで試験的に閉鎖しても自発呼吸は障害されないため,気切孔閉鎖術を行う方針とした.手術は気切孔周囲の前頸部に紡錘状の皮膚切開を入れ,気切孔頭側に気切孔を閉鎖するための表皮を島状に残し,周囲の表皮を切除した反転皮弁(hinge flap)を作成し,気切孔を縫合閉鎖した.術後,術前から認められた誤嚥による肺炎が懸念されたが,食形態を調節することで誤嚥なく術後7日目に退院となり,その後も問題なく経過している.輪状軟骨前方鉗除によるいわゆる永久気管孔でも,皮弁による気管切開孔閉鎖術を安全に行うことが可能であった.