スポーツ理学療法学
Online ISSN : 2758-4356
参加型ミニレクチャー「コンピテンシーに基づいた評価」
Anterior Cruciate Ligament-Return to Sport Injury(ACL-RSI)scaleで評価してみよう!
廣幡 健二
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 2 巻 Supplement 号 p. S27

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抄録

Anterior Cruciate Ligament-Return to Sport Injury(ACL-RSI)scaleは、ACL損傷/再建術後患者の“スポーツ復帰に対する心理的準備状況(心構え)”を評価することができるアンケートである。2008年に開発されたACL-RSIscaleは、2022年現在で10種類以上の言語に翻訳され世界的に活用されており、欧米諸国の診療ガイドラインにおいても使用が推奨されている疾患特異的な患者報告型の指標である。

ACL-RSIscaleのスコアは、ACL再建術後選手の身体機能やスポーツ復帰達成状況と関連することが報告されている。これらの報告のもと近年では、術前や術後早期から選手の心理的側面を丁寧に評価し、必要あれば早期からアプローチすることの重要性に注目が集まっている。最新の研究で、ACL-RSIscaleのスコアと再受傷発生の関連も報告されつつあるが、この点についてはまだ一定の見解が得られていない。

ACL-RSIscaleスコアの良し悪しとスポーツ復帰や再受傷といったイベントとの関連について議論していくためには、まだまだデータの蓄積が必要である。また、選手から得た情報を診療に活かすためにも、検査者はその評価内容や解釈方法を適切に理解する必要がある。本講では、国際的なスタンダートとなっているACL-RSIscaleに関する国内外の研究動向を整理してそのスコアの特性を解説する。また、参加者の方々にアンケート回答を体験していただきつつ、医療やスポーツの現場で使用する上でのポイントも整理できればと思う。

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© 2022 一般社団法人 日本スポーツ理学療法学会

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