気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
喀痰学について(第 11 回日本気管支学会総会特集)
長岡 滋
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 10 巻 5 号 p. 479-484

詳細
抄録

痰の物理・化学的性状は, 呼吸器疾患の病態生理学と臨床に関する的確な情報源である。例えば, 痰の物理・化学的な性状の分析により, 痰の発生起源と喀出困難のメカニズムが推定できる。最近, 気管支喘息の痰の性状の分析により, 特異的性状を持った痰が, 喘息の病態の重要な一局面である気道クリアランスの障害に大きなかかわりを持っていることが明らかになり, このような痰の対策は, 気管支の収縮に対する治療に劣らない意義を有することが認識されるようになった。さらに, 痰のレオロジーについての研究の結果, 従来とは異なる観点に立脚した去痰薬の開発がもたらされた。最近では, 喀痰中のエラスターゼや脂質に対する関心が高まっており, その結果, 呼吸器感染症や呼吸不全に対して, 新たな検討が開始されている。

著者関連情報
© 1988 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top