1988 年 10 巻 5 号 p. 521-525
びまん性汎細気管支炎19症例につき内視鏡観察を行い, 気道粘膜所見およびそれらと臨床データの比較検討を行った。又, 一部の症例では採取された気道組織の電顕観察をも併せ施行した。検索対象例の84%(15例)は気道粘膜の腫脹性変化を示したが, 2例は萎縮型に属する粘膜像を示した。粘膜の腫脹性変化の高度な症例に気道内の分泌液の量が多く認められ, 罹病期間の長い症例では腫脹性変化が軽度となる傾向が認められた。末梢気道の電顕観察では, 上皮細胞の形態異常のほかに粘膜被覆層内に好オスミウム性層状構造物を多数認めた。以上の結果より本症患者の中枢気道の内視鏡所見は多彩であり, 臨床所見と密接な関連性のあることが示唆される。電顕観察からは, 末梢気道上皮に高度な傷害と修復, サーファクタントの分泌や成熟異常のあることが推察される。