気管支学
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気管・気管支内異物の治療
門倉 光隆谷尾 昇森保 幸治野中 誠横川 秀男高場 利博
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1991 年 13 巻 3 号 p. 318-324

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抄録

過去2年間に当科で経験した気管・気管支内異物について検討した。誤嚥された異物は, 釘の1例を除きいずれも歯牙に関連するもので, 義歯3例, 脱落した門歯1例であった。これら5例の誤嚥から診断, 摘出までの期間は, 12時間以内が2例のほかは少なくとも6カ月以上経過したもので, 最長7年以上と推定された。当科受診時, 咳嗽などの自覚症状を有した症例は3例で, 他の1例は健康診断で指摘された。もう1例は腹部手術の麻酔中に脱落した門歯を挿管チューブ抜去時に誤嚥したものであった。異物摘出は, 気管支ファイバースコープを使用し, 異物鉗子やキュレット, バスケット型鉗子などで行ったが, 誤嚥から18カ月経過した症例では周囲の肉芽形成により摘出困難のため肺葉切除となった。異物摘出に対して気管支鏡は有効であるが, 誤嚥後長期間嵌在した異物の中には, 観血的治療を要する症例があると考えられた。

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© 1991 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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