抄録
症例は67歳男性,前立腺癌の腰椎転移で整形外科受診し,胸部X線撮影で両側中下肺野に多発性に石灰化陰影を指摘され当科紹介された。入院後気管支鏡検査施行し気管,気管支内に黄色調の腫瘤性病変を数カ所に認めた。同病変部の生検組織はHE.染色で気管支粘膜下にエオジンに淡染の無構造物質を認め,またコンゴーレッド染色でピンク色に染まり,過マンガン酸カリ処理で処理されず,これらの所見よりALアミロイドが示唆された。Bence-Jones蛋白陰性,骨髄穿刺では多発性骨髄の所見はなく他の臓器にアミロイドの所見を認めず,以上より原発性気管,気管支肺アミロイドーシスと診断した。アミロイドーシスにより気管,気管支に著明な腫瘤性病変を来し,また肺野病変を伴ったものは本邦では数例に過ぎず,稀であるので報告する。