気管支学
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舌区胸部異常影精査中, 偶然に発見された中葉形成不全症の 1 例
福田 実竹村 弘増本 英男須山 尚史荒木 潤浅井 貞宏
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1992 年 14 巻 7 号 p. 651-654

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抄録

自覚症状はなく, 舌区胸部異常影精査中に偶然に発見された中葉形成不全症の1例を経験したので報告した。症例は63歳の非喫煙男性。左肺異常影を指摘され, 当科入院となった。気管支鏡検査及び気管支造影検査にて中葉支は盲端となっており, 右B^3の下方への偏位, B^8の上方への偏位が認められた。右肺動脈造影にてA^4, A^5の欠損が確認された。また胸部CT検査にて気腫状変化やmucoceleを認めず, 気管支閉鎖症は否定された。以上より先天性の中葉形成不全症と診断された。肺機能は正常であり, 他に合併奇形や合併症は認められなかった。肺葉, 肺区域欠損は非常に稀な先天奇形であり, 中でも中葉の報告はほとんどない。我々の調べ得た限りでは本症例が本邦2例目の報告であった。他の肺葉無形成症に比べて中葉無形成症は他の肺葉によって代償される為, 臨床症状に乏しいものと思われた。気管支鏡検査の普及に伴い発見例も今後増加してくるものと思われる。

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© 1992 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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