抄録
きわめて稀な孤立性気管支乳頭腫の2例を経験したので報告する。症例1は, 68歳, 男性。咳嗽, 発熱を繰り返し, 当院受診。理学的所見, 胸部X線で異常なし。気管支鏡検査にて, 左下幹入口部に表面平滑な広基性の隆起性病変を認め, 生検にて, 孤立性移行上皮型乳頭腫(transitional papilloma)と診断された。左下葉切除が行われ, 以後経過観察中であるが, 術後6年目の現在再発は認められていない。症例2は, 64歳, 男性。血痰あり, 精査目的にて当院受診。理学的所見, 胸部X線で異常なし。気管支鏡検査にて, 右B^<1+3>入口部に表面細顆粒状のポリープ状腫瘤を認め, 生検にて, 孤立性扁平上皮型乳頭腫(squamous cell papilloma)と診断された。現在厳重に経過観察中である。