抄録
マイコプラズマ肺炎6例に気管支鏡, 気管支肺胞洗浄(BAL), エロソール吸入シネシンチグラフィ(AICS)を施行し, 気道病変とこれに伴う粘液線毛輸送機構障害とを臨床的に検討した。気管支鏡検査では全例両側気管支粘膜の発赤, 腫脹などの炎症所見がみられ, 5例に膿性粘調な分泌物貯留を認めた。生検病理組織像では気管支上皮細胞傷害と気管支, 細気管支, 胞隔炎の所見が得られた。気管支肺胞洗浄液(BALF)所見では総細胞数とリンパ球・好中球比率の増加とを認めた。AICSによる粘液線毛輸送機構の検討では発症後約1ヵ月の時点で4例中3例に強い障害が認められ, 発症後約3ヵ月の時点でも粘液線毛輸送機構障害が遷延した症例も存在した。以上からマイコプラズマ肺炎には広汎で強い気道障害の存在することが明らかとなった。