抄録
最近6カ月間に当センターにおいて, 肺野末梢部の3cm以下の小型病変の診断を目的として施行された2mmスライスの薄層スライスCTにおいて, 病変に関与する気管支の描出能についてprospectiveに検討した。対象は肺癌24例, 非癌性病変20例であり, 手術(開胸生検含む), 経気管支鏡的肺生検または経皮的肺生検により病理学的な確定診断がついたものである。CTの撮影は確定診断をつける約2週間前に, 病変部から肺門までをCT寝台を2mm/秒で動かしながらhelical scan法で撮影した。画像は高分解能条件で2mm厚, 2mm間隔のtarget scanで再構成し, 描出条件はWL-600, WW1900に統一した。肺癌例および非癌性病変においても4次ないし6次枝の巻き込みが描出された例が70%に認められ, 肺癌例においては気管支が描出された例はそうでなかった例に比べて, 有意に経気管支鏡的肺生検での陽性率が高かった。以上より, 高分解能条件により再構成した薄層スライスCT画像は末梢の4∿6次分枝までの気管支の描出が可能であり, 術前の確定診断においての関与気管支の同定に寄与する可能性が示唆された。