気管支学
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気管支 mucosal bridge 自験例 5 例の解析 : 肺癌の治療過程における内視鏡所見として
冨岡 洋海布引 久子長谷川 幹岡崎 美樹片上 信之坂本 廣子石原 享介岩崎 博信梅田 文一中井 準
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キーワード: 粘膜架橋, 肺癌, 気管支鏡
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1993 年 15 巻 3 号 p. 242-249

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抄録
肺癌による気管支内腔の狭窄, 閉塞が, 化学療法や放射線治療によって改善した後に, mucosal bridgeが形成された5症例(扁平上皮癌2例, 小細胞癌3例)を経験した。これらは, 治療効果判定を目的として繰り返し気管支鏡検査が施行された過去3年間の当院肺癌症例のうち, 6.7%の頻度で認められた。さらに組織型別では, 中枢気道粘膜への浸潤傾向が強い扁平上皮癌, 小細胞癌では, それぞれ4.9%, 14.3%の頻度であったのに対し, 腺癌, 大細胞癌では1例も認められなかった。これらのmucosal bridgeは, 腫瘍の浸潤, 圧排による気管支内腔の狭窄のために気管支粘膜の癒着が生じ, 治療により内腔が再びひろがるにつれて, 癒着していた粘膜部分がひきのばされて形成されたかあるいは, 治療により癌細胞が消失し, 間質が残存して形成されたものと考えられた。
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© 1993 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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