気管支学
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人工気管吻合端の軟性化による吻合部肉芽性狭窄の抑止効果
平 泰彦
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1993 年 15 巻 3 号 p. 233-241

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抄録
人工気管の吻合部における肉芽性狭窄の原因は, 吻合部に反復して加わる機械的刺激が主因であろうと考えた。そこで従来一般に剛性であった吻合部を軟性とすればshock-absorberとして働き, 過剰肉芽発生を抑止できると考え, この仮説を検討した。試作人工気管は, dacron tubeの内面にsilicone rubberをcoatingし, 外面に支持のためpolyester ringを付着したもので, これを成犬の縦隔気管に置換した。対照モデルは内面の両端までcoatingしたもので7頭に, 実験モデルは両端各5mmはcoatingせず, dacronのみの軟性吻合端をもつもので, 13頭に置換した。両群で経時的に吻合部の開存率を観察した。その結果, 吻合部の軟性化によって吻合部の肉芽性狭窄は2∿4カ月間抑止でき, このうち4頭は12∿17カ月の長期生存を得た。しかし, 肉芽発生を完全には防止しえず, 肉芽発生以前に吻合端を生体組織に同化させる工夫が必要と考えられた。
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© 1993 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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