気管支学
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結核後の気管狭窄に対する Dumon 型気管留置用ステントの 1 使用経験
濱田 円大原 利憲六車 満安田 英己
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キーワード: 結核性気管狭窄
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1994 年 16 巻 4 号 p. 386-390

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抄録

我々はCarina直上で約4cmに及ぶ気管狭窄を来した気管気管支結核の39歳女性に対しDumon型気管留置用ステントを用い15ヵ月を経過した症例を経験した。気管留置用ステントは悪性疾患による気管狭窄に対しての報告が散見されるが, 良性疾患である結核性気管狭窄に用いた報告は少ない。現在まで本疾患は, 特に狭窄範囲が広い場合においては, 決定的な治療法は確立されておらず, 挿入直後より安定した気道の確保が可能であり最も期待の持てる治療法として選択した。挿入後は呼吸状態は安定し外来通院で経過観察可能であったが, 頻回にステント断端に肉芽増生を認め, レーザー焼灼およびステントの交換を要した。結核性気管狭窄においては, 炎症の範囲が不明瞭であり手術療法を困難にしているが, これは気管内ステント留置においても同様の課題と考えられる。呼吸困難を来している場合, 炎症の鎮静化を待機する余裕がないため, 挿入後の炎症の状態は一旦安定したように見えても厳重に経過観察を要すると考える。

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© 1994 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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