気管支学
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慢性肺気腫における細径ファイバースコープによる末梢気道の観察
峯村 和成市瀬 裕一堀江 忍外山 圭助
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1995 年 17 巻 5 号 p. 409-415

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抄録

閉塞性障害を認めない喫煙者6例を対照として慢性肺気腫の末梢気道を観察した。肺気腫例は慢性安定期にある小葉中心性肺気腫6例であった。両例とも第8次分岐付近まで, 口側の気管支には異常を認めなかった。喫煙者では第8次分岐付近より粘膜出血, 発赤の急性炎症所見を認めたが, 第13次分岐レベルまで挿入観察できた。一方, 肺気腫例では第10次分岐レベルの終末細気管支の狭窄閉塞, それより2∿3分岐口側の粘稠性分泌物の貯留, 粘膜蒼白, 色素沈着, また末梢側では蜘蛛の巣様の隔壁形成を認めた。隔壁形成は単純X線の透過性亢進部, 胸部CT上の低X線吸収域に一致し, また病理解剖学上の気腫性嚢胞内肉柱形成に合致するものであった。肺気腫例の閉塞性障害の規定部位が終末細気管支にあることを内視鏡的に確認し, それより末梢の気腔拡大と病理所見である肉柱形成を生体内で確認することが出来た。

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© 1995 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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