気管支学
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放射線治療後に Completion pneumonectomy を施行した多発早期肺癌の 1 例
川畑 勉河崎 英範大田 守雄国吉 真行石川 清司源河 圭一郎
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1995 年 17 巻 5 号 p. 443-447

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抄録

症例は64歳男性, 1991年3月胸部X線上に異常所見を認めなかったが, 喀痰細胞診で陽性と判定された。気管支鏡検査では病変を特定できなかったが, 選択的気管支洗浄細胞診で左肺上葉支が陽性と判明し, 左肺上葉切除術を施行した。1B^5b末梢のsquamous cell carcinoma in situであった。1993年3月に1B^8, B^9間のspurに結節隆起病変(扁平上皮癌)を認め, Nd-YAGレーザー照射(233J)と放射線療法(LINIAC 60Gy)を施行し, 癌細胞の消失をみた。しかし, 1994年4月, 残存左肺B^<10>に新たに扁平上皮癌の発生を認め, Completion Pneumonectomyを施行した。切除気管支断端は有茎肋間筋弁を用いて被覆した。術後切除気管支断端にminor leakageを認めたが, 保存的に治癒した。肋間筋弁による気管支断端の被覆は放射線治療後のCompletion Pneumonectomyに伴う気管支断端瘻に対する予防策として有用な手技と考えられた。

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© 1995 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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