気管支学
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声帯直下に位置し高度狭窄を呈した原発性気管癌の 1 例
日吉 晴久岩波 洋成田 久仁夫立花 正徳坪井 栄孝加藤 治文
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1995 年 17 巻 5 号 p. 438-442

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抄録

症例は75歳の男性。1992年11月頃より軽度呼吸困難自覚し当院受診。胸部X線写真では異常所見認めなかったが, 気管支鏡で声帯直下の気管後壁に内腔をほぼ閉塞するカリフラワー状の腫瘍を認め, 生検より気管乳頭腫と診断された。腫瘍下方で気管切開後, Nd-YAG Laserによる腫瘍焼灼を行い内腔はほぼ開存した。しかしその後短期間に腫瘍が増大したため, 気管を縦切開し腫瘍を切除, 同時に永久気管口作成しT-tubeを留置した。腫瘍の術後病理診断は気管原発扁平上皮癌であった。さらに外来経過観察中に気管内に再発認めて放射線療法施行するが, 腫瘍は2回再発を繰り返した。しかも胸部CTで両側肺内転移も認め, 現在放射線療法に加え化学療法も施行中である。以上声帯直下に局在し高度の狭窄を呈したため2年にわたり様々な治療を行った原発性気管癌の1例を報告した。

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© 1995 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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