気管支学
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肺癌化学療法後に発生した気管支食道瘻に対する気管支内 covered stent による瘻孔閉鎖の 1 治験例
中村 雅則草島 勝之西海 豊寛菅原 洋行常松 和則
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1995 年 17 巻 5 号 p. 459-465

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抄録

症例は, 55歳男性, 肺門部低分化扁平上皮癌(T_4N_2M_0 stageIIIb)で, 化学療法(BAI)後に, 左主気管支に気管支食道瘻が発生した。Dumon stentは, 気管支狭窄を合併したため不適当と考え, Gianturco expandable metallic stentの周囲に0.1mmの厚さのexpanded polytetrafluoroethylene (ePTFE)を被覆し作製したcovered stentを使用した。術後は造影, 内視鏡所見ともに瘻孔は完全に閉塞し, 繰り返す肺炎を防止し, 経口摂取が可能となった。挿入4ヵ月後も, ePTFEの感染, 亀裂等のcovered stentの異常は認めず, 栄養は, 経口的に行われている。本症例は, 気管支食道瘻に対する気管支内covered stentの最初の報告と思われる。今後, covered stentは, 適応が広がっていくものと考えられ, 被覆材料に関してさらに開発が必要と考えられる。

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© 1995 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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