1997 年 19 巻 5 号 p. 369-374
気管支結核の形態について研究するため, 本症42例の気管支鏡所見と気管支鏡下生検材料の病理所見を対比解析した。気管支鏡所見はI相(早期 : 粘膜内結節)2例, II相(活動期 : 潰瘍)17例, III相(治癒過程期 : ポリープ)13例, IV相(瘢痕期 : 線維性瘢痕)10例に分けられた。病理所見の特徴は, I相では気管支上皮直下の類上皮細胞性肉芽腫, II相では時に軟骨も含む壊死と類上皮細胞性肉芽腫, III相では気管支上皮の扁平上皮化生と上皮下の肉芽組織, IV相ではほぼ正常の気管支粘膜であった。I相では気管支鏡下生検の, 結核早期診断における意義は大きいと考えられた。II相, III相はこれまで一括して論じられてきたものであるが, 形態学的にも, 現代の結核治療の経過を考えるうえでも, 分離して論じるべきと思われた。我々は気管支結核における今回の気管支鏡所見分類は臨床病理学的に有意義であると考える。