気管支学
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気管支鏡検査時の血液ガス動態からみた改良型気管チューブの有用性の検討
池谷 朋彦杉山 茂樹原 祐郁安西 吉行
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1997 年 19 巻 5 号 p. 375-378

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抄録

気管支鏡検査に伴う低酸素血症に対して酸素投与は必要不可欠である。検査時動脈血の変化や酸素投与法や適用量を検討した報告は散見されるが, ほとんどが経鼻的な酸素投与である。今回, 我々は気管チューブを改良して直接気管内に酸素投与を行い, 従来の経鼻的酸素投与法との動脈血ガス動態を比較・検討した。A群は, 気管チューブのカフ部分を取り除きカフ用の細管から純酸素を気管内に0.51/minで投与した25例, また経鼻カテーテルで純酸素を21/minで投与した19例をB群とした。酸素投与下-気管支鏡挿入5分後のPaO_2値は酸素無投与の場合と比べて, A群が16.6Torr, B群が9.1Torrの有意な上昇を認めた。両群間で検討すると, A群がB群より有意に上昇した。改良型気管チューブを用いた酸素投与法は, 確実に気管内への酸素投与が可能であり, 特に低肺機能患者の気管支鏡検査時の低酸素血症の予防に有用であることが, 示唆された。

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© 1997 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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