1997 年 19 巻 5 号 p. 405-408
症例は44歳, 男性で咳嗽, 喀痰を主訴として当科受診した。重度喫煙者であった。胸部X線上, 異常影を認めなかった。気管支鏡にて喉頭や気管に異常なかったが, 右肺底区気管支の入口部に内腔をほぼ閉塞するポリープを認めた。生検の結果, 気管支乳頭腫の診断を得た。1995年12月11日に右肺底区域切除を行った。腫瘤の大きさは8×8mmで, B^7とB^8の分岐部より発生していた。最終病理診断はtransitional papillomaで, 悪性の合併病変はなかった。孤立性気管支乳頭腫は稀な疾患で, 本邦報告例は37例のみであった。そのうち乳頭腫の悪性化2例, 肺癌の合併が5例にみられ, その治療としては外科的切除をすべきと思われた。