気管支学
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80 歳で発症した特発性気管・気管支軟化症の 1 例
芦谷 淳一迎 寛飯干 宏俊谷口 治子加藤 茂樹増本 英男松倉 茂
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1997 年 19 巻 5 号 p. 430-434

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抄録

症例は83歳, 女性。80歳時に呼吸困難と喘鳴が出現し, 緩徐に進行するため入院。喫煙歴や気管支喘息の既往はない。画像上異常はなく, 気管支内視鏡検査で過呼吸誘発時に気管膜様部の気道内腔への突出および末梢区域気管支の虚脱を認め, 気管・気管支軟化症と診断した。腫瘍や外傷はなく特発性と考えられた。口すぼめ呼吸や腹式呼吸にて著しく症状は改善し, 呼吸リハビリが有効と思われた。本症は肺気腫や気管支喘息等のある高齢者に慢性の咳嗽や胸腔内圧上昇が持続することにより発生することが多いが, 本症例では基礎疾患はなかった。呼吸困難や喘鳴を訴える場合に本症は鑑別すべき疾患の1つであると考えられた。

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© 1997 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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