1997 年 19 巻 5 号 p. 426-429
リンパ節穿孔型の気管支結核の病変部位に気管支結石を伴った1例を経験した。症例は68歳女性。咳嗽, 喀痰を主訴とし当院を受診。胸部X線写真と胸部CT所見では, 右下葉を中心に斑状, 粒状影を認めた。気管支鏡検査で, 右底幹に白色の潰瘍性病変とこの中に銀色の異物様病変を認めた。異物様のものは3 mm大の結石で, 成分分析では96%をリン酸カルシウムが占めていた。生検所見では, 壊死組織を伴った炎症細胞浸潤が中心であった。気管支洗浄で結核菌(ガフキー4号)が検出され, 気管支結石の性状等から, 石灰化を伴う結核性リンパ節炎が気管支壁を穿破して潰瘍を形成したことによるリンパ節穿孔型の気管支結核と診断した。INH, RFP, EB等の内服, SMの筋注と吸入により4ヵ月後の気管支鏡では, 軽度の陥凹を認めるのみで, 著明な改善がみられた。