気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に生じたアスペルギルス菌球症の 1 例
木村 清延三上 洋高橋 亘中田 久夫阿部 庄作大崎 饒村尾 誠
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 2 巻 2 号 p. 199-205

詳細
抄録

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に生じたアスペルギルス菌球症の1例を報告する。症例は25才、男性。昭和51年4月、胸部異常陰影の精査を求めて来院した。血中好酸球数・血清Ig-E値は著高を示し、アスペルギルスに対する皮内反応・沈降抗体・吸入試験はいずれも陽性であった。また中心性の気管支拡張症も確認した。以上の成績から、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症と診断した。その後胸部X線所見は徐々に改善し、51年7月退院した。昭和53年10月、咳・痰・発熱とともに、胸部X線検査で右上肺に空洞性変化を認めたため再入院となった。X線学的に、空洞性変化は凹凸不整の壁をもって始まり、急速に増大し薄壁化するとともに、空洞内に菌球を有するようになり、ついには典型的な菌球症となった。手術切除標本の組織学的検査により、アスペルギルス菌球症をともなった気管支拡張性空洞を確認した。

著者関連情報
© 1980 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top