気管支学
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肺大細胞癌切除例における術前気管支鏡診断の検討
石川 紀彦小田 誠村上 眞也太田 安彦関戸 伸明菊地 勤渡辺 洋宇
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1998 年 20 巻 2 号 p. 115-118

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抄録

肺大細胞癌切除例の術前気管支鏡診断を検討した。1973年から1996年までに経験した原発性肺癌切除例1432例中, 大細胞癌は52例(3.6%)に認め, このうち気管支鏡を施行した43例を対象とした。年齢は40∿81(平均63.7)歳, 男性40例, 女性3例で, 病理病期はI期13例, II期2例, IIIA期14例, IIIB期10例であった。最大腫瘍径は平均4.4cmであった。気管支鏡検査所見は特記すべき所見のないもの20例, 腫瘍の露出5例, 圧排性狭窄7例, 気管支炎4例, 出血4例, 責任気管支の発赤腫脹3例であった。擦過細胞診は33例中, 大細胞癌8例, 扁平上皮癌1例, 腺癌3例であった。気管支洗浄液細胞診で大細胞癌と診断されたものは30例中14例であり, 他に扁平上皮癌1例, 腺癌1例であった。生検は19例中, 大細胞癌と診断されたのは5例で, 扁平上皮癌2例, 腺癌3例であった。肺大細胞癌は術前の細胞診, あるいは肺生検での正診率は低く, 正確な組織診を行うためには開胸, あるいは胸腔鏡下肺生検が有用と考えられた。

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© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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