気管支学
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レーザー治療後外科治療を施行した超高齢者肺癌の 1 例
辻 博治原 信介岡 忠之新宮 浩田川 泰綾部 公懿
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1998 年 20 巻 2 号 p. 168-172

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抄録

右主気管支をほぼ完全閉塞する扁平上皮癌に対し, レーザー治療で気道閉塞を改善後, 外科治療を行った症例を経験したので報告した。症例は81歳男性。血痰, 咳嗽を主訴とし近医を受診し, 気管支鏡で右主気管支の腫瘍を指摘された。同部の擦過細胞診で扁平上皮癌の診断を得たため, 加療目的で当科入院となった。入院時の気管支鏡検査では, 右主気管支をほぼ完全閉塞する腫瘍を認め, 体動時に高度の呼吸困難を訴えた。画像診断上, 右主気管支内腔に2.5×1.0cmの腫瘤陰影を指摘され, 中間気管支幹末梢は開存していることが確認されたため, レーザー治療による気道の改善を先行した。接触型YAGレーザーにより腫瘍を焼灼し, 気管支鏡type 1T-10が通過可能な気道の改善を得た後, 根治術を施行した。手術術式は, 右上葉管状切除術を施行し, 術後病期はT3N0M0 III A期であった。術後経過は, 一過性精神障害, 肺胞瘻の遷延等を併発したが改善を認め, 術後19日目退院となった。

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© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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