気管支学
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気管, 気管支原発 Low-grade Malignant Tumor の臨床的検討
南 寛行本庄 誠司荒木 潤岩崎 啓介
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1998 年 20 巻 5 号 p. 381-384

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抄録

過去10年間に当院で手術を施行した気管気管支原発の低悪性腫瘍13例(粘表皮癌5, 腺様嚢胞癌3, カルチノイド5)について臨床的検討を行った。性別は男性8例, 女性5例, 年齢は17∿79歳, 平均50歳であった。13例中9例が何らかの呼吸器症状を有して来院し, 血痰4, 咳嗽3, 喘鳴1, 反復性の肺炎1であった。全例に術前気管支鏡検査が行われたが, 術前の確定診断は13例中6例(46%)で, 他は術中または術後に診断された。手術は7例に気管気管支形成術, 5例に肺葉切除, 1例に肺全摘が行われ, リンパ節転移はカルチノイドの1例に認めたが, 他はp-n_0であった。術後合併療法は気管腺様嚢胞癌の1例に放射線照射を行った。予後では手術死亡はなかったが, 左肺全摘となった79歳, 粘表皮癌の症例が術後48日に対側気胸で死亡した。腫瘍死はカルチノイド(atypical type)の1例にみられ, 肝転移により術後34ヵ月に死亡した。他の11例は再発なく生存中であり, 5生率80.1%, 平均生存期間49ヵ月であった。

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© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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