1998 年 20 巻 7 号 p. 605-609
症例は23歳男性, 胸痛のため近医を受診し, 右中肺野に浸潤影を指摘され当科に紹介された。気管支鏡にて右B^6入口部にB^6aをほぼ閉塞する表面平滑で光沢のある基部の狭い球状ポリープを認めた。本ポリープは生検組織で壊死を伴った炎症性肉芽組織, Z-N染色・抗酸菌蛍光染色は陰性で組織学的に結核性肉芽腫との確診には至らず, 内視鏡所見より非特異的炎症性ポリープ(以下本症)と診断した。近傍の白苔部分の生検組織は壊死組織および早期肉芽組織と考えられ, Z-N染色陰性であった。一方, S^6aのTBLBは組織学的に結核性肉芽腫であり, 気管支洗浄液の結核菌培養陽性のため, 本例を肺結核と診断した。HRSによる抗結核療法3週後の気管支鏡検査で上記ポリープは消失しており, ポリープと結核感染の関連が示唆された。未治療の肺結核に伴う本症の報告はないが, 内視鏡的に本症であっても結核症も考慮すべきであると考えられた。