気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
気管支壁深達度診断に気管支腔内超音波断層法が有用であった腺様嚢胞癌の1例
宮津 由香宮澤 輝臣岩本 康男栗本 典昭
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 22 巻 1 号 p. 23-27

詳細
抄録

気管・気管支低悪性度腫瘍である腺様嚢胞癌に内視鏡下気管支腔内超音波断層法(Endobronchial ultrasonography(EBUS))を用い, 気管支壁への腫瘍の深達度を観察し, 良好な画像を得, 治療方針を決定する際に有用であったので報告する。症例は, 56歳女性。呼吸困難感で来院。気管支鏡にて右主気管支に腫瘍を認めた。硬性鏡下にEBUSで観察すると, 腫瘍は一塊となった低エコー層として描出され、内部に気管軟骨輪が浮いているように見えた。また, 気管支外膜は高エコー層として断絶なく見え, 腫瘍は気管軟骨輪は越えているものの, 外膜を越えて浸潤してはいないと考えた。Nd-YAGレーザーで腫瘍を焼灼し, 硬性鏡下でcore out後, 放射線治療を行った。腫瘍焼灼術中も随時必要に応じてEBUSにて気管支壁を観察した。EBUSの利点として, 腫瘍の気管支壁深達度を焼灼前に測定するのみでなく, Nd-YAGレーザー焼灼中リアルタイムに腫瘍を描出できることもあげられる。

著者関連情報
© 2000 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top