気管支学
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薬剤性好酸球性肺炎の1例 : 乳癌に対する放射線照射後に出現した肺野病変
寺崎 洋淡河 悦代藤本 公則目野 茂宣福光 れい小金丸 雅道内田 政史西村 浩早渕 尚文
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2000 年 22 巻 1 号 p. 46-50

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抄録

症例は59歳, 女性。左乳癌にて乳房温存術を施行。残存乳房へ切線対向2門照射を行った。照射から約3ヵ月後より微熱, 頭痛, 全身倦怠感および軽度の咳嗽が出現し徐々に症状が増強し, 5ヵ月後になって胸部X線写真で両肺門部〜下肺野に浸潤影が出現した。胸部CTでは両下葉の背側領域に内部にair bronchogramを伴うconsolidationを認め辺縁部はすりガラス状陰影を呈し, いわゆるBOOPパターンと考えられた。気管支肺胞洗浄液分析では好酸球およびリンパ球の上昇を認めた。患者は疾患に対する不安から薬剤を乱用する傾向にあり, リンパ球刺激試験を行ったところ複数の薬剤に対して陽性を示した。内服中止後は特にステロイド投与を必要とせず陰影の消失を認めた。病変が放射線治療後に出現したことから照射野外に生じた放射線性肺臓炎の可能性も否定できなかったが, これまでの経過から総合的に消炎鎮痛剤に起因した薬剤性好酸球性肺炎と診断した。

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© 2000 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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