気管支学
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喀血をきたした気管支動脈蔓状血管腫の1例
石川 暢久横田 幸弘池上 靖彦藤高 一慶熊谷 和彦山崎 正弘小栗 鉄也礒部 威
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2001 年 23 巻 1 号 p. 69-73

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抄録
【背景】気管支動脈蔓状血管腫は気管支動脈が屈曲, 蛇行, 拡張し, しばしば気管支動脈と肺動脈との異常吻合をきたす稀な疾患である。【症例】症例は59歳, 男性。1997年12月, 喀血のために当院に緊急入院となる。気管支鏡検査では左B^6cに隆起性病変を認め, 気管支動脈造影では同部位に一致して気管支動脈が著しく屈曲・蛇行・拡張し, 気管支動脈は肺動脈とシャントを形成していた。気管支動脈塞栓術(Bronchial arterial embolization : BAE)を施行したが, 術後2日目に再喀血を認めたため, 左下葉切除術を施行した。組織学的には, 左B^6の気管支動脈の血管壁の内膜は, 弾力線維の増生を伴った肥厚所見を示し, 周辺の組織には慢性炎症細胞の浸潤を伴っていた。切除標本では, 気管支軟骨周囲の気管支動脈は屈曲・蛇行し, 内腔は著しく拡大していた。血管壁の内膜は, 慢性炎症細胞の浸潤を認めた。以上より, 二次性気管支動脈蔓状血管腫と考えた。【結論】気管支動脈蔓状血管腫は喀血の原因となることを心に留めておくべきであると思われた。
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© 2001 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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