2004 年 26 巻 2 号 p. 145-148
背景.Quality of lifeの改善を目的とした手術不能の気道狭窄に対する治療法としてステント使用の機会が増加してきた.目的.手術不能の良性・悪性の気道狭窄に対するself-expanding nitinol stent(SENS)留置について安全性および適応を検討した.対象と方法.1995年4月から2001年12月までに手術不能の気道狭窄症例56例に対してSENSを留置した.悪性疾患による気道狭窄が49例,良性疾患が7例であった.結果.SENS挿入手技に関連する合併症は認めなかった.全例で呼吸困難等の自覚症状の改善が認められた.再狭窄を生じた悪性の4例にstent-in-stentを行った.留置期間は最長7年であった.結論.手術不能気道狭窄症例に対する集学的治療の一つとしてSENSは低侵襲で有用であり,良性気道狭窄に対しても安全に長期使用が可能と思われた.