気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
肺癌気管転移による気道狭窄に対しBrachytherapyとDumon tube挿入を行った1例(<特集>気道狭窄に対する気管支鏡下治療)
小林 孝一郎小田 誠西嶋 博司
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 26 巻 2 号 p. 149-153

詳細
抄録

背景.肺癌の気管転移により気道狭窄をきたした1例に対し,種々の内視鏡的治療を行い,長期生存を得たので報告する.症例.85歳,男性.主訴は血痰.右下葉原発の径3.9cmの低分化扁平上皮癌に対し,右下葉切除術(pT2NOMO)を施行した.術後26か月に気管支鏡検査で気管転移を認めた.高線量率気管支腔内照射(Brachytherapy)を3回,計15Gy施行したのち,40Gyの外部照射を追加した.腫瘍は消失したが,同33か月に気管と中葉気管支に新たな転移を認め,おのおのBrachytherapyを15Gy施行した.同42か月に両側肺と声門下腔に新たな転移を認めたが,経過観察とした.同51か月に呼吸困難が増強し,声門下腔から頸部気管にかけて高度の狭窄を認めた.頸部後屈困難にて硬性鏡が挿入できず,気管内挿管チューブにて段階的にブジーを行った後,内径9mmのチューブ内にDumon tubeを折りたたんで装填し,狭窄部位に留置した.Dumon tubeは拡張力が弱く,バルーンで完全に拡張した.結語.同63か月に癌死するまで,気管転移から37か月間にわたり気道確保ができた.

著者関連情報
© 2004 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top