気管支学
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側視型拡大気管支ビデオスコープ(第27回日本呼吸器内視鏡学会総会 : シンポジウム1-4)
山田 玄明田 克之表多 希子高橋 守谷口 雅之大塚 満雄猪股 慎一郎西海 豊寛高橋 弘毅阿部 庄作
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2004 年 26 巻 8 号 p. 697-703

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抄録

目的. 気管支鏡の可視範囲には気管支静脈系の血管網が観察される. 側視型の拡大気管支ビデオスコープ(XBF240HM5, オリンパス社)を用いて, 気道病変に伴う気管, 気管支の粘膜面の血管網の変化を検討する. 対象と方法. 気管支喘息(BA)11例, 慢性気管支炎(CB)12例, サルコイドーシス(SAR)17例を対象に内視鏡画像解析ソフト(Solemio ENDO ProStudy, オリンパス社)を用いて血管面積比, 血管長比, 血管長/血管面積比, IHb値について検討した. 同様に, 腫瘍性病変23例(腺癌6例, 扁平上皮癌6例, 小細胞癌4例, 転移性肺癌7例)を対象に粘膜変化を検討した. なお, 可視範囲に異常のない15例を対照とした. また, 粘膜の微細構造の描出を目的としたNarrow bandimaging(NBI)system(オリンパス社)を用いて正常気管支粘膜の観察を行い通常光と比較した. 結果. 内視鏡画像解析ソフトでの検討では, 血管面積比と血管長比は, SARは, BA, CB, 対照よりも有意に増加し, CBは, BA, SAR, 対照よりも有意に低下していた. 血管長/血管面積比はCBが対照よりも有意に増加していた. IHb値は, CBがBA, SAR, 対照よりも有意に低下していた. 腫瘍性病変では, 腫瘍または腫瘍近傍の微小血管が増加している場合(血管増加型)と粘膜肥厚が主体の場合(粘膜肥厚型)に分けて検討した. 血管増加型では, 原発性肺癌と転移性肺癌において血管面積比, 血管長比, IHb値が対照よりも有意に増加し, 血管長/血管面積比は原発性肺癌が対照よりも低下していた. また, IHb値は, 血管増加型と粘膜肥厚型が対照と比較して有意に増加していた. 次に, NBI systemを用いて正常気管支粘膜の観察を行った. 特にB画像(400〜430nm)において通常光の観察では描出されない上皮直下の微小血管の描出が良好であった. 結論. XBF240HM5は, 内視鏡画像解析ソフトあるいはNBI systemと組み合わせることにより, 気道病変に伴う気管支上皮下の血管網の微細な変化を解析することが可能と思われる.

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© 2004 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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