2005 年 27 巻 5 号 p. 361-366
背景・目的. 原発性肺癌の診療において, 縦隔リンパ節や肺門リンパ節への転移の有無を知ることは, 治療の決定において重要である. 我々はリアルタイム超音波ガイド下経気管支針吸引(real time endobronchial ultrasound-guided fine needle aspiration : 以下EBUS-FNA)を導入し, 原発性肺癌の縦隔, 肺門リンパ節転移の病理学的診断を施行したので, その結果を報告する. 対象. 2003年3月から2004年1月の間に, 当科にて縦隔, 肺門リンパ節に対し, EBUS-FNAを施行した19例の原発性肺癌症例. 結果. EBUS-FNA施行中, 施行後の合併症は認めなかった. 19例中EBUS-FNA陽性が8例, 陰性が11例であった. EBUS-FNA施行後の縦隔鏡検査や肺癌根治術で真の結果が判明した16症例における全22リンパ節にて, 検査精度について検討したところ, 感度は73%, 特異度は100%であった. ただし, #3のリンパ節における感度は25%, #3を除いた部位での感度は100%であった. 結論. EBUS-FNAは安全かつ正確に施行することができ, 結果も満足いくものであった. ただし, #3リンパ節に対しては技術的な工夫をして, 診断精度を向上させる必要がある.