気管支学
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経気管支鏡マイクロサンプリング法(気管支鏡セミナーより)
石坂 彰敏
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2005 年 27 巻 6 号 p. 457-460

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抄録

各種疾患の病態を評価する上で血液中などの液性因子の解析は極めて重要である.しかし呼吸器疾患に関しては, 血液検体から得られる生化学的情報を肺の病態解析に用いることは困難である.気道上皮被覆液(epithelial lining fluid : ELF)からは呼吸器系の病態を把握する上で有用な情報が得られる.ELFを回収する目的で気管支肺胞洗浄(broncho-alveolar lavage : BAL)が用いられるようになった.しかしBALは血液ガスの悪化などの問題から患者への負担が大きく, また特に疾患肺で注入した生理食塩水の回収率が低いことや, 特定の気道から採取することができないなど, 問題点も多い.BALの持つこのような問題点を克服するため, 我々は生理食塩水の気道内への注入なしにELFを採取することのできる経気管支鏡マイクロサンプリング(bronchoscopic microsampling : BMS)を開発した.本稿ではBMSの機器・手技から現在までに得られた各種疾患および薬物動態への応用に関する知見を交えて概説する.

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© 2005 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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