2005 年 27 巻 6 号 p. 452-456
背景.CTの描出技術の進歩により非侵襲的な気道の評価が可能となってきた.症例.78歳, 女性.自覚症状はなく胸部異常陰影精査にて当科紹介.胸部CTで左肺門部から胸膜に続く数珠状の陰影を認め, 気管支粘液栓が疑われた.気管支鏡検査にて気管は正常であったが, 呼気時に両側の主気管支から末梢区域気管支の50%以上の全周性の虚脱を認めた.左B^3bは黄色物質で閉塞されており, 生検組織はフィブリン塊であった.原因疾患がないこと, 気管支軟化部位がびまん性であることより特発性気管支軟化症と診断した.またCTによる吸気・呼気時の気管支の三次元(3D)再構築画像・virtual bronchoscopyでも呼気時のびまん性気管支虚脱が確認された.結語.自覚症状は呈さず, 気管支粘液栓にて発見された高齢発症の特発性気管支軟化症の1例を経験した.気管支鏡検査とCTによる3D再構築画像・virtual bronchoscopyが気道の虚脱の評価に有用であった.