気管支学
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集学的治療で完全奏効を得た気管分岐部扁平上皮癌と胃腺癌の同時性重複癌の1例
中山 景介岡田 大輔小泉 潔
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2007 年 29 巻 3 号 p. 190-194

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抄録

背景.胃腺癌と,気管扁平上皮癌の同時性重複癌ほきわめて稀であるので報告した.症例.72歳,男性.胃体中部大弯側後壁の胃腺癌と,食道に浸潤した気管分岐部の扁平上皮癌の重複癌であった.胃癌の術前に気管癌に対してCDDP 20mg/dayの5日間連続投与と放射線照射を60Gyを行った.治療終了後に,気管癌と食道の浸潤は完全に消失した.胃部分切除術を施行したところ,胃癌は高分化型管状腺癌でStage IAであった.術後CBDCA+Weekly PTXを2コース施行し,UFT-Eを600mg/dayを14週内服させた.現在,外来にて経過観察しているが,術後3年間再発は認めていない.結論.同時性重複癌の手術においては,最小限の手術侵襲で根治性が得られる手術術式の選択が重要と考えられた.気管癌は稀な腫瘍であるが,集学的治療により,3年以上の比較的長期にわたり完全奏効が得られた.

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© 2007 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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