2008 年 30 巻 1 号 p. 29-35
背景.再発性多発性軟骨炎(RP)は軟骨や結合組織を侵すまれな原因不明の疾患である.呼吸器系においては,甲状・輪状・気管軟骨などの炎症と軟骨構造の破壊に起因する気道狭窄を来し,しばしば致死的となる.今回,RPの1例にUltraflex^[○!R]ステントを留置し,良好に経過した症例を経験した.症例.57歳男性.2006年4月鞍鼻,気管壁肥厚などを認め,肋軟骨生検にてRPと診断されていた.前医にて内服治療を受けていたが,同年11月に食事中,突然呼吸困難を訴え意識消失したため,他院に搬送され救命処置後,気管内挿管下に当院へ転院となった.結果.気管切開後Ultraflex^[○!R]ステント留置を行い,直後に人工呼吸器から離脱し得た.現在,Tチューブを留置し,ステント留置後4カ月の現在,狭窄症状なく日常生活を送つている.結論.Ultraflex^[○!R]ステントはRPに対し有用であったが,長期管理の点で議論の余地が残されており,今後も定期的なフォローを必要とする.