背景.難治性気管支性有瘻性膿胸に対し,ガイドワイヤーを用いた気管支充填術が補助治療として有効であつた1例を報告する.症例.64歳男性.食道癌術後に食道胃吻合部の縫合不全による膿胸を発症した.吻合部瘻孔は保存的治療により治癒したが,近傍の肺の気管支性有瘻性膿胸を発症した.これに対し外科的瘻孔閉鎖,開窓術,胸郭成形術を施行したが治癒には至らなかった.そこで,気管支鏡下にガイドワイヤーを用いて歯科用印象材である固形シリコンを瘻孔のある気管支に充填した.充填後,空気漏洩と感染の鎮静化を見て,胸郭再成形術,大胸筋弁充填術を施行することによって膿胸は治癒させることができた.結論.難治性気管支性有瘻性膿胸に対し,気管支充填術が有効であつた1例を報告した.