気管支学
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有茎広背筋皮弁による気管気管支膜様部再建を行った食道癌術後胃管気管瘻の1例
金内 直樹大泉 弘幸加藤 博久遠藤 誠貞弘 光章
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2008 年 30 巻 6 号 p. 388-391

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抄録

背景.食道癌根治術後の胃管気管瘻は稀な合併症で,広範な瘻孔が形成された場合,致命的となる合併症である.救命のためには外科治療を選択せざるを得ないが,その治療には難渋することが考えられる.症例.57歳,男性.食道癌に対し食道亜全摘および2領域郭清を行った,第12病日に膿胸,縦隔炎を併発したために当科紹介となった.気管支鏡検査にて気管から右主気管支にかけて広範な胃管と気管気管支との交通が認められ,胃管気管瘻と診断し,手術を選択した.開胸し胃管を抜去すると,気管から右主気管支に約8cm長の膜様部の欠損が認められ,有茎広背筋皮弁にて気管気管支膜様部再建を行った.最終的には食道癌の遠隔再発により第113病日に在院死した.結論.食道癌術後胃管気管瘻に対し,有茎広背筋皮弁による気管気管支膜様部再建を行い,危機的状況を回避できた.

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© 2008 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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