気管支学
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肺小型病変に対する気管支鏡下バリウムマーキングの有効性と安全性の検討
山田 崇央小山 泰規升井 朝美田宮 暢代細木 誠之平松 真河野 能士上田 幹雄有本 太一郎岩崎 吉伸
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2009 年 31 巻 2 号 p. 62-67

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抄録

背景・目的.CT検診の普及により胸部X線写真では指摘できない肺小型病変が発見されるようになってきた.その診断と治療を兼ねてVideo-assisted thoracoscopic surgery(VATS)により病変を切除することも多い.今回,我々は肺野末梢の小型病変のVATSによる切除部位の決定のため,病変の局在を明確にする目的で気管支鏡下にバリウムマーキングを行い,その有用性と安全性を検討した.対象・方法.径20mm以下の肺野末梢の小型病変で,気管支鏡下の生検では確定診断が困難な,VATS下切除を予定していた46例を対象とした.病変の大きさは10.2±0.5mm(mean±standard error),病変と胸壁との距離は10.1±0.8mmであった.あらかじめCTで病変の位置・気管支を特定し,気管支鏡下にカテーテルを挿入して透視下にカテーテルの先端を病巣近傍に誘導し,50%硫酸バリウムを注入した.その後,CTにてマーキングが適確に行われたことを確認し,VATS下切除を行った.結果.注入したバリウム量は0.36±0.03mlであり,46例中35例で病変部に一致してマーキングすることができ,その他の病変も15mm以内の距離にマーキングできた.またVATSの日まで良好なマーキングを維持でき,VATSにより全例で確定診断に至った.合併症は1例に約1週間持続する軽度の咳嗽を認めたが,その他の症例では認めなかった.結論.気管支鏡下バリウムマーキングは出血・気胸などの合併症もなく,またVATS下切除時にマーキング部を容易に確認でき,安全で有用な検査方法と考えられた.

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© 2009 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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