2009 年 31 巻 2 号 p. 72-78
背景.原発不明肺門リンパ節癌は稀な疾患で,その生物学的特徴は明らかでなく確定診断は困難である.完全切除で長期予後が期待され得るが,術式については議論のあるところである.症例.64歳,男性.7年前に胃癌で胃亜全摘術を施行された.CEAの上昇あり,胸部CTで右肺門リンパ節の腫大を認めた.2ヵ月間で増大しFDG-PETで高集積像を示したことから,試験開胸を行った.術中迅速病理にて肺門リンパ節への扁平上皮癌の転移と診断され,中下葉切除術(ND2a)を施行した.病理学的にはリンパ節内に浸潤性に増殖する中から低分化な扁平上皮癌の転移であり,摘出した肺内に原発巣はなかった.結論.原発不明肺門リンパ節癌に対し二肺葉切除と系統的リンパ節郭清を施行した.完全切除し得たので良好な予後が期待し得る.