気管支学
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2006年アンケート調査からみた国内における気管支鏡の実態(2次出版)
丹羽 宏棚橋 雅幸近藤 丘大崎 能伸岡田 克典佐藤 滋樹鈴木 栄一千場 博藤野 昇三宮澤 輝臣小林 紘一
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2009 年 31 巻 3 号 p. 127-140

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抄録
背景と目的.気管支鏡の実態調査をするために日本呼吸器内視鏡学会では郵送によるアンケート調査を企画した.方法.調査用紙を本学会認定および関連認定の526施設に郵送した.対象は2006年1年間に実施された気管支鏡症例である.結果.375施設(71.3%)から回答を得た.総気管支鏡実施件数は74,770件で,軟性気管支鏡74,412件,硬性気管支鏡358件であった.診断的気管支鏡はほとんど軟性鏡で実施されていた.治療的気管支鏡は硬性鏡を用いる施設での実施件数が多く,患者が集中していると考えられた.97%の施設で少なくとも1名の本学会認定専門医が勤務していた.前投薬では硫酸アトロピンを92%の施設で投与,鎮静目的の薬剤投与は24%の施設で行われていた.85%の施設でほとんどすべての検査を局所麻酔で実施していた.75%の施設で日常的に経口経路を選択していた.診断的気管支鏡の合併症発生率は鉗子生検2.50%,擦過生検0.57%などで,死亡は鉗子生検の3例(0.012%)にみられた.治療的気管支鏡の合併症発生率はステント留置1.68%,Nd:YAGレーザー3.66%,PDT5.0%,高周波0.69%などで,死亡はNd:YAGレーザーの1例(0.61%)にみられた.結語.実施方法の詳細は各施設により大きく異なっているものの,診断的気管支鏡は安全に実施され,患者によく受け入れられていた.治療的気管支鏡は対象例が少なく,限られた施設で実施されていた.
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© 2009 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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