2009 年 31 巻 5 号 p. 283-287
背景.Chronic expanding hematomaの手術には多量の出血が予想される.症例.28歳時に結核に対する手術既往を有する72歳の男性が,血痰を主訴に当院に紹介された.胸部X線写真では,右下肺野に石灰化を伴う腫瘤陰影が認められた.胸部CT,MRIにて,右横隔膜上に13cm大の腫瘤が認められた.Chronic expanding hematomaと診断された.術前に右第10肋間動脈と右下横隔動脈の塞栓術が施行された.血腫は被膜ごと摘出することができた.術中出血量は850mlで,自己血輸血のみでよかった.術後経過は良好であった.結論.Chronic expanding hematomaに対し,術前動脈塞栓術と自己血輸血により切除した1例を報告した.