2009 年 31 巻 5 号 p. 309-313
背景.気道異物の種類は多岐にわたり,異物の性状,数,閉塞部位などを十分検討し万全の体制で対応することが望まれるが,呼吸状態が不良な場合などには迅速な対応が必要となる.症例.32歳男性.籾殻貯蔵槽内で作業中に大量の籾殻内に生き埋めになり,意識障害,チアノーゼ,喘鳴を伴う努力様起坐呼吸を来し,咳嗽では籾殻を喀出できなかった.気管挿管人工呼吸管理下に気管支鏡検査を行い,気管内に充満した多数の籾殻を確認した.消化管用五脚型把持鉗子を用いて一度に5〜10個程度の籾殻を把持でき,両側主気管支が確認できる程度まで籾殻を摘出したところで咳嗽による自己喀出が可能となり,抜管できた.結論.大量の籾殻による気管気管支異物が急性呼吸不全を来し,気管挿管人工呼吸管理下の気管支鏡下異物摘出で救命できた稀な1例を経験したため,報告する.