2011 年 33 巻 3 号 p. 158-162
背景.サリドマイドはその免疫調節作用や抗血管新生作用から多発性骨髄腫や他の悪性腫瘍に対しても使用されている.副作用として薬剤性肺障害の報告はまれである.症例.76歳,女性.治療抵抗性の多発性骨髄腫としてサリドマイドの服用6か月後に,病勢悪化と倦怠感が増強し入院した.自覚症状はないが胸部X線写真にて浸潤影を認めた.気管支肺胞洗浄で著明なリンパ球増多と肺生検にて間質性肺炎に矛盾しない所見を得た.サリドマイドのみ中止し,胸部画像所見の改善を認め,サリドマイドによる薬剤性肺障害と診断した.結論.無症状で発見されたサリドマイドによる薬剤性肺障害を経験した.サリドマイド投与中は定期的な胸部画像検査も必要と考えられた.