気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
局所麻酔下胸腔鏡にて診断し得た腎癌術後18年目に再発した癌性胸膜炎の1例
石井 聡竹田 雄一郎平野 聡中道 真仁仲 剛飯倉 元保伊藤 秀幸小林 信之工藤 宏一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 33 巻 5 号 p. 326-330

詳細
抄録

背景. 当症例は腎癌摘出後18年目に胸水貯留で発症し,局所麻酔下胸腔鏡で壁側胸膜への再発が確認された.腎癌摘出後10年以上経過してからの遅発性転移の報告は少なく,今回報告する.症例. 76歳,男性.呼吸困難を主訴に来院.胸部X線にて左胸水を認めた.胸腔穿刺にて滲出性胸水を認めるが,胸水細胞診陰性であり,確定診断に至らなかった.18年前に左腎癌に対し左腎摘出術を行っていることもあり,腎癌の胸膜転移が鑑別診断として挙がり,確定診断目的に局所麻酔下胸腔鏡検査を施行した.胸腔内を観察し,横隔膜上などに白色の腫瘤病変を認めた.表面は,赤色で微細な血管に富んでおり生検を行うと組織は比較的柔らかく,生検は容易であった.病理所見は淡明な胞体を有した腫瘍細胞が胞巣を形成しており,18年前の腎癌摘出標本とも比較し,腎癌胸膜転移と診断された.結論. 今回,局所麻酔下胸腔鏡にて診断し得た腎癌術後18年目に再発した癌性胸膜炎の1例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2011 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top