2011 年 33 巻 5 号 p. 342-347
症例. 57歳女性.労作時息切れを主訴に当センターを受診した.不妊歴はなかったが,小児期から嗅覚障害があり,胸部CT検査で気管支拡張症を認めた.原発性線毛機能不全症を疑い気管支鏡検査を行った.気管支粘膜を電子顕微鏡で観察したところ,線毛の構造異常を認め,原発性線毛機能不全症と診断した.クラリスロマイシンの投与によって咳嗽,喀痰などの自覚症状,血液ガス所見,呼吸機能検査,画像所見の改善を認め,投与を開始して1年半後の現在も改善傾向を示している.結論. 原発性線毛機能不全症に対し,クラリスロマイシンは有効である可能性がある.