気管支学
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Virtual Bronchoscopyが有用であった鈍的頸部気管損傷の1例
松浦 陽介渡 正伸
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2012 年 34 巻 3 号 p. 234-237

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抄録

背景.鈍的外傷による気管・気管支損傷は比較的稀な疾患である.しかし,その死亡率は高く,正確かつ迅速な診断ならびに的確な治療方針の決定が重要である.そのため,気管・気管支損傷が疑われた場合は,画像診断や気管支鏡で気道の異常の有無を確認することが重要とされている.今回我々は, CTを元に作成されるvirtual bronchoscopyを用いて,非侵襲的に気道の損傷部位を評価することが可能であった,頸部気管損傷の1例を経験したので報告する.症例. 60歳男性.転倒により前頸部を打撲し受診した.臨床症状やCT所見から気管損傷が疑われた. CTを元にvirtual bronchoscopyを作成し, Ia型気管損傷と診断した.気管挿管にて呼吸管理を行ったが,手術を行うことなく,保存的治療で軽快した. 1週間後に施行した気管支鏡検査にて,損傷部位の治癒瘢痕化が確認された.結論.気管・気管支損傷において, virtual bronchoscopyは非侵襲的に評価が行え,有用な方法と考えられた.

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© 2012 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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