2012 年 34 巻 3 号 p. 246-251
背景.肺癌の切除術後に,サルコイド様反応による縦隔リンパ節腫大を認めることがあり,リンパ節転移との鑑別を要する.症例.症例1は64歳男性.臨床病期IAの肺腺癌に対して消極的縮小手術として楔状切除を施行した.術後3年目に縦隔リンパ節腫大を認め,超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration : EBUS-TBNA)により,非乾酪性肉芽腫を認めた.症例2は79歳女性.肺腺癌に対して左上葉切除を施行,病理病期IAであり外来で経過観察を行っていた.手術から2年8か月後に,経過観察のCTで縦隔リンパ節の腫大を認め, EBUS-TBNAにより非乾酪性肉芽腫を認めた.両者とも,眼・心・皮膚その他臓器にサルコイドーシスを示唆する病変を認めず,サルコイド様反応と考えた.結論.肺癌手術後にサルコイド様反応による縦隔リンパ節腫大を認める場合があり,再発との鑑別のために組織診断を行うことが望ましい.